前々々回からの続きです(この記事だけ読んでもらってもかまいません)。
「相続登記以外の登記上の問題を診断できる」このメリットはちょっとイメージしにくいうえ、どちらかというと当地(三次市や県北部)や過疎地特有の問題によるものかもしれません。
私どもが相続登記を受任した場合、まず正確な現在の登記を把握するために、登記簿(登記情報)を取得して内容を確認します。すると、所有権名義以外の部分にかなりの割合でなんらかの問題が見つかってしまう、というのが当地の現状としてあります。最も典型的な例で言えば、消えている(弁済が終わった)はずの抵当権の登記が残っている、といったケースです。
不動産の取引や担保設定が多い都会の場合、取引の都度、不動産業者・金融機関や司法書士が登記をチェックしたうえで取引を進めるため、登記に問題があればそのタイミングで解決しています。しかし、そういった機会の少ない過疎地の場合、登記に何か問題が残っていても、誰も気づかないまま数十年が経過してしまうということが多いのです。
さきほどの抵当権を例にとると、現存している金融機関であれば、抹消書類を再発行してもらうことができるのですが、抵当権者が亡くなっていると思われる個人名の場合、原則その相続人を全員調べてコンタクトをとる必要が出てきます。そのため、見逃したまま長い期間が経過すればするほど、解決は困難になってしまうのです。
上記は抵当権を例にとりましたが、他にもたくさんの「問題」のパターンが存在します(本当に多いので、別途あらためて記事にしていきたいと思います)。登記簿を見ただけではわからない類いの問題を発見することも多いです。
司法書士はそれらを発見・把握して的確な解決方法を提示することができますので、相続登記の際には登記の定期診断のような意味あいを兼ねて司法書士を利用していただければ幸いです。